膜型人工肺

 肺における人工臓器(人工肺)は血液のガス交換器として幅広く臨床使用されており、近年の性能向上によりさらにその適応範囲を拡大していく可能性をもっている。 最近の人工肺はガス交換能の向上を目指す設計ではなく、多機能化や耐久性の向上といった付加価値を高めるための開発が行われている。
 そこで、本研究では、小児専用人工肺の開発を目的とした。小児専用の人工肺では、患者の負担を低減させるため低血液充填量で小型の人工肺が望まれている。 数値流体解析(Computational Fluid Dynamics)による人工肺設計を行うことで、CFDに基づいて人工肺のポート形状を変化させることで、 人工肺内の中空糸膜を最大限に使用し、血液の停滞・偏流のない均一な血液流れを可能とする人工肺を設計した。



ポンプレス人工肺

 従来,呼吸不全患者などの生体肺では血液のガス交換が十分に行えない患者において ECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation)を用いた肺移植までの橋渡しが行われていた。 しかし,近年においては,患者のQOLを向上するためにiLA(interventional Lung Assist)や携帯型といった方法が提案され,今日では実用化されている。 このような方法においては,低圧損・低血液充填量であり,その上従来と同等のガス交換能を保有した人工肺の開発が望まれている。
 そこで,我々は,流体工学に基づき、ポート部から膜部に至るまでに流路幅を拡大しかつ,流路距離に余裕を持たせることで,圧力損失の低減およびガス交換能の向上を目指した人工肺の設計、流体解析、試作評価を行っている。


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