液体呼吸システム

 液体呼吸(Liquid Ventilation;LV)とは,気体の代わりに酸素溶解度のきわめて高い液体であるPerfluorocarbon(PFC)を気道から肺内に注入し、 その換液によって呼吸を維持し生体におけるガス交換を行う呼吸法である.
 このPFCの特長として,比重が重い,表面張力が小さい,無色透明で科学的に不活性・安定である. また,水と比較するとO2で約20倍,CO2で約4倍,表面張力は1/4であり,血液との比較では約2.5倍の酸素を溶解することができる.
 以上の特長より,ARDSやCOPDなどの重症呼吸不全 に対してLVを行うことで,虚脱した肺胞の再拡張効果, 貯留した血液や浸出液を中枢気道に移動させ除去する洗浄効果,再開存した肺胞壁の形を保つサーファクタント効果,高い酸素運搬能によるガス交換の改善が期待できる. そのため,LVは呼吸不全の新しい治療方法として世界的にも注目を浴びている研究である.
 現在は,液体呼吸システムのポンプ制御システムの開発およびLV専用の人工肺の開発を行っている.



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